慶伊道彦 IVY STYLE 講座  / “BLACK IVY” を読み解く

Kay こと慶伊道彦のCoffee Break

責任編集者 Jason Jules ジェイソン・ジュールズ  作家、ブロガー、ブランドコンサルタント、アイビーイスト、カルチャーシーンで多岐に渡り活躍、ロンドンでは ”生きているジャズソング” といわれ、そのファッションセンスは群を抜いている。

@gramsville
Get ! 記念写真を、筆者と同じポーズで

話題の洋書 “BLACK IVY” ようやくゲットしました。コロナ禍の影響か入荷が一か月以上も遅れ、ちょっと出遅れ気味ですが。この本を基に、僕のブラックアイビー感など話します。

——— Jason Jules を知ったのは、INSTAGRAMの写真で、    3年程前の写真でしたが、シアサッカージャケットにマドラスシャツと黒ニットタイを合わすという、IVYのツボにハマったスタイルを見て、凄いなあ〜と、当時感じました。
————- @gramsville ————
              この様なカジュアルなスタイルでも、IVYな崩しを忘れていない、ロンドン最強のアイビーイストです。

数年前、BLACK IVY というブログがあり(現在は見当たりませんが) そこでは黒人青年たちがカジュアルプレッピースタイルをカッコよく見せていたので、この本もその延長上に位置するのかなと考えてオーダーしました。

勿論、カッコいい BLACK IVY STYLE 満載なのは予想通りでしたが、著者の思惑はかなり深いところにありました。その辺りは、平和ボケの日本人には分かりにくいところです。ただ、そうした気持で写真の編集がなされたという事は、知っておいた方がいいのかなと

タイトルが、まさに ”スタイルへの反乱” その意味するところは、IVY を保護色ととらえ、”私たちを社会的によみやすくする機能を服に持たせる” “人はイメージに基づいてお互いを読み取ります” “アイビースタイルを受け入れるという事は、平等に見られたい、特定の偏見や障壁に阻まれたくないという意志表示” “ロカビリークラブに入るためのロカビリーな格好をするようなもの” などなど  Jason Jules は、このように語っています。次に、BLACK IVYが、WASP発のIVYに、COOLな魅力を付け加え、それがアイビースタイルが長く続いてきている一因であるとも語っています。   

——ニューヨークタイムズの特集より抜粋——

この本に、Martin Luther King Jr. の提唱する行進の写真が取り上げられてますが、まさにこの本の精神を著す

EBONY は、LIFE に対する黒人のカルチャー誌

彼のこのコメントを読むまでは、僕は BLACK IVY で感じる事が、二例ありました。そんな軽い本でないと後で知りましたが。以下、その二例を紹介します。

その一つは、あの映画監督スパイク・リーの第二作 ”School Daze” 80年代ニューヨークで観たのですが、面白くって面白くって、デヴュー作 “She’s Gotta Have It” からファンだったので。内容は、ある黒人の大学生たちの学園モノですが、ネオブラック系 対 ブラックプレッピー系 二つの勢力のぶつかり合いをコメディタッチで描いていました。アイビーファンには、非常に楽しめる映画でした。

“School Daze” スクールデイズ

HBUC (History Black Universities Colleges) 歴史的黒人大学、アフリカ系アメリカ人学生の高等な教育を目的とした学校で、キング牧師も卒業生。

*引用写真です*
*TAKE IVY 風キャンパス風景 / 引用写真*

BLACK IVY から、もう一つイメージしたのは、80年代ラルフローレン,マディソンアヴェニュー本店、このショップにカッコいい若者が集まるようになったのですが、アイビーを実にうまくアレンジしている黒人学生たちも。恐らく裕福な黒人家庭の息子たちでしょうが。いゃ〜カッコよかったですね。僕が思うに、Rugby Shop の初期のイメージを作ったのは、彼らだったのでは。

RUGBY SHOP 引用写真

さて、”BLACK IVY” は、およそ10分野に分けて構成、各分野の代表的な方々を選んで載せています。

In Literature 文学

LeRoi Jones
James Boldwine

In the Arts 芸術

Charles White

In Music 音楽

さすがこの分野は、IVY の宝庫!載せきれないほどのプレーヤーの写真があります。ジャジーアイビーというスタイルが、若者を虜に!

Miles Davis
M.J.Q (Percy Heath)
Lee Morgan

ブルーノート・ルック

ジャズミュージシャンは、大胆な新しい音楽を演奏しているのに、まるで保険会社で働いているかのような服装をしている。この対比のカッコ良さがクール!マイルス・デイヴィスも音楽は急進的なのに、服装はアイビーできめる。あの伝説のアイビーショップ “アンドーバー” で即日で全身アイビールックに変えたのは有名な話。

In Film 映画

Sidney Poitier

マイルス・デイヴィスの写真にもありましたが、ポアチエのシャツ!僕たちは、プルオーバーシャツと呼んでいますが、この本では、Popover Shirt と呼ばれてます。60年代は、このシャツが大人気。アイビースタイルの基でもあるので、復活させてほしいですね。

Film “Night of the Living Dead”

In Schools 学園

HBUC

In the City ストリート

アイビーなストリートスタイル

ロールアップして足首を魅せるブルージーンズ、シンプルなポロやドリズラー、アンゴラのカーディガン、どれもがブラックアイビーのカッコよさを感じる。

In Civil Rights 公民権

誰のアメリカか? 誰がそれを持つことが出来ないと言った? アイビースタイルは、不公平に対抗する手段でもある —— Jason Jules ——

John Simons Harrington Jacket

ハリントンジャケットも50~60年代のマストなアイビーアイテム、日本ではスィングトップと呼ばれてました。ドリズラーも似たようなもので、マクレガーやバラクータが有名。

In Marches 行進

Harry Belafonte / Sidney Poitier
Eddie C. Brown プルオーバーシャツ、オーバーサイズなバルカラーコートにキャップ

In Politics 政治

Edward William Brooke lll

In Sports

Arthur Ashe / USAオープン覇者

Vネックのハーフスリーブセーター、セバゴのスリッポン、街に溶けこんだスタイルが素晴らしい。

Jason Jules は、こうも述べている。 アイビーリーグの服がクールの真髄であるとされるのは、古典的なアイビーワードローブがエリート主義の枠から離れ、大衆的人気からも高度にコード化され、意図的に革命的なものに生まれ変わった。アイビースタイルという言語が、音楽、ビジュアルアート、教育、闘争、etc. ブラックアメリカンの物語の内的な一部となった。

—ニューヨークタイムズより抜粋—

著者の考えについては、僕ら日本人には身をもって完全に理解しきる事は出来ませんが、おそらくは、しかしながら著者の選び抜いた写真のCOOLさ!カッコよさ!これには、僕もアイビーファンの皆さんもきっとアグリー!

”IVY” そのものが大人への反乱だったわけで、BLACKという名がついてなくてもこの本の価値は高い!人種世代を越えて愛されるクールなアイビー教科書です、皆さんも是非!

*掲載写真は “BLACK IVY” より引用致しました*

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