慶伊道彦 IVY STYLE 講座/ 70年代はアイビーがウェーブする

Kay Coffee Break

オーセンティック・アイビーがすっかり終わってしまった70年、ニューヨークに革命児が現れる。Ralph Lauren / 67年、ネクタイのリベッツを経てボー・ブランメルで自身のブランドを持つ。そして78年には、”ポロ・ファッションズ”を設立し、フルコレクションを展開。70年には、当時トレンドではNo. 1と言われたデパートのブルミングデールにインショップを開く、などと飛ぶ鳥を落とす勢いでデビュー。アイビーの進化系であるニュートラディショナル(Up Date Traditional) スタイルを打ち出した。

Ralph Lauren 初期の頃

RLの日本上陸は1976年、西武百貨店との契約から始まると通説ではなっている。フルコレクションという意味ではその通りだが、その2年前1974年にネクタイの菱屋が短期のライセンス契約をしている。実は僕自身がサラリーマン時代にニューヨークまで契約に行ったのだ。マンハッタン・アップタウンの豪華なマンションの一室が会社だった記憶がある。当時は、マンションをオフィスにする会社などなかったので、そのクールさが印象に残っている。残念ながらマネジメントに携わる実兄のみが契約時にいて、ローレン本人はチラッと顔を出されただけだったが、まだ27才と若い僕には実に刺激的な瞬間だった。

70年代のRalph Lauren /MENSCLUBより引用

78年ラルフ・ローレンは、新しい切り口であるウエスタン・アイビー(この呼称は日本だけかも)を発表した。古いウエスタン・フィルムがスタイルのインスピレーションだと語っていたのを何かの本で読んだ記憶がある。

31才の時に見た雑誌GQのトラッド特集の写真があまりにもクールだったので、僕の会社名に選ぶが、それがワシントンD.C.にあるラグジャリーホテルFAIRFAX HOTEL。(29才で創業した際の会社名が、POLO FASHOINSを真似て、RUE FASHOINSとフレンチな名前をつけたが、商品イメージと合わなく2年で変更した経緯が)

翌年1979年、2度目のFAIRFAX HOTEL訪問の際、ある日の朝、ホテルロビーでラルフ・ローレン氏とバッタリ!スタッフらしき数人と立ち話をしていらっしゃった。なんと素晴らしい光景なんだろうとしばし唖然として魅入った。(勿論、話しかける事はしなかった)

その時のウエスタン・アイビー・スタイルは、ずっーと僕の記憶に残る。ホワイト・オックスフォード・ボタンダウン・シャツに黒のリボンタイ、ツィード・ヘリンボン・ジャケット、コンチャ・ベルトにウエスタン・シューズ。これが本物のウエスタン・アイビーだと、興奮が続いた。

Ralph Lauren ウエスタン・アイビーに魅せられて

そう言えばワシントンD.C.では、もう一つ忘れられない出来事も!ワシントンのRL単独ブティックが素晴らしいと言う事で、訪問。しかし、ウィンドウ・ディスプレイ写真は暗くなければ撮れないという事で、早朝しかも夜明け前の5時頃撮りに出かけた。フラッシュ写真を何枚も撮っている時、大声がして瞬間後ろを振り返ったが、それがパトカーとは思わず危ない輩と勘違いして逃げると、突然サイレンが鳴り出しワンブロック手前でホールドアップ、パトカーに手を乗せて身体検査。(まさに映画のシーン) まともに英語も話せない上にあの状況だからなおさら。唯一分かりやすい言葉 ”I love Ralph Lauren“ 連呼!なんとか分署に連れて行かれず解放された。その当時、日本が商品のコピー問題で大騒ぎになっていて、それが頭によぎったのもあったが、あれ以来、日が出てからの撮影しかしない事にした。

70年代は、ニュートラディショナル以外にも、ヒッピー・ファッション、サーファー・ルック、雑誌ポパイからのアウトドアやへビーデューティ、これらのスタイルが流行りアメリカン・スタイルの中でもアイビーは忘れ去られた時期だった。その中で唯一アイビー派が愛したのはニュー・トラディショナル・スタイルだったのだ。

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慶伊道彦 IVY STYLE 講座 / 60年代後半はモード満開の時代

Kay Coffee Break

60年代後半はアイビー対コンチの時代と話したが、実はさらに二つのスタイルが生まれたのだった。

コンポラ・スタイル

コンポラとはアメリカン・コンテンポラリー・スタイルの事で、ハリウッド・スターの影響が強く出たスタイル。当時アメリカのTVドラマが大人気、その中でも ”ナポレオンソロ” “サンセット77” “逃亡者” など目新しい大人のスタイルが、若者のハートを掴む。アメリカン・スタイルにフレンチ風コンチのシルエットを取り入れた”いいとこどり”スタイルなのだが。日本では特に関西から人気が広まった。理由の一つに、大阪に谷町ナンバー6という紳士服メーカー団体があったのだが、VANのアイビーに対抗する方式を模索した際に、西海岸ハリウッド・スタイルと結びつく。また関西の若者は東京アイビーに対抗心が強く東京と違い一捻りしたアイビー・スタイルを好んでいたが、コンポラと結びつきコンポラ・アイビー・スタイルを生む。大手メーカーではなくアートジャケットやリングジャケットなど小規模なアパレル・メーカーがハリウッド・スター・スタイルを研究し人気となった。

アイビー仕様のステッチは残し上着丈を短く軽い絞りも入れ、細みのラペルは丸味を入れたクローバーラペルなどラペルにこだわる。(コンポラ・スタイルの詳しいディテール等は、以前のブログを参照してください)

アイビー・ディテールを取り組んだコンポラ/MENS CLUBより引用

モッズルック / ロンドン60’s ルック

”スィングギング・ロンドン”と呼ばれた時代、ポップカルチャーを謳歌するロンドン60年代の若者は、既存の権威あるスタイルを嫌い、HIPなアメリカやイタリアのスタイルを真似る。細身のスーツにスリムタイ、上にはミリタリーパーカーをはおり、改造スクーターに跨る。またアイビー・アイテムを取り入れ、日本のオーセンティック・アイビーとは違うロンドン・アイビースタイルへと進んでいく。労働者階級からの派生したと言う点では、BLACK IVYにもつながる流れかと。( ”さらば青春の光”は、モッズ・スタイルをチェックするのにピッタリな映画 )

映画”さらば青春の光”より引用

ロンドン・アイビーと言われるモッズ、フレッド・ペリー、Dr.マーチン、リーバイス、ペニーローファーなどのアイテム、そしてポール・ウェーラーの着るホワイトのステンカラー・コートがアイコン。

60年代後半はメンズファッションが開花した時期、アイビーを中心にコンチ、コンポラ、モッズとこれらがお互いに影響し合う。日本のアイビーは、60年代これらのスタイルの取り込む事で、HIPなアイビー・スタイルを確立し、その後の生き残りに繋がって行く。

”アイビーはモードだった” 時代

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慶伊道彦 IVY STYLE 講座 / アイビー黎明期は超HIP!

Kay Coffee Break

日本におけるアイビー黎明期は諸説あるが、60年代前半と考えてよいだろう。63年12月にアイビー・スタイル雑誌”MENS CLUB”が創刊、翌年64年春に男性エンタメ雑誌”平凡パンチ”が創刊、さらに10月には東京オリンピックが開催、その間にはあの”みゆき族”騒動もあった。そのあたりがアイビールック・ブームと言っていいだろう。

この時代、アイビールックは不良スタイルと言われた。(いつの時代にも始まりをやる人は異端者扱いで悪く言われるが) 理由の一つにアイビールックをする若者の社会でのポジションがある。当時、社会的には異端なデザイン学校生や美大生、ジャズ好きな若者、大学生とはいえ学校に行かず趣味三昧の若者などなど。大人の常識には嵌まらない輩であったから、当時の世相としてはバツだったが、感覚というかセンスは抜群で一歩抜け出ていた。

初期のアイビールックのスタイルは、今から見ると極めてオーソドックスなスタイルであった。しかしそんなアイビールックからは、研ぎ澄まされたセンスが滲み出ていた。タイトでナチュラルな肩幅のスーツ、パイプステムと言われるストレートなパンツはクルブシでカットされ、足元はオカメと言われるウィングチップ・シューズ。はたまたスィングトップやニット・カーディガンにストレート・シルエットのコットンパンツ、これもクルブシを見せた。

美術学校セツ・モードセミナーは、その後ファッション界をリードしていく若者たちに人気があったのだが、(アイビー・スタイル・イラストの穂積和夫氏も在籍) 創設者長沢節氏のイラスト、細身のパンツにクルブシ出しのパンツ丈、HIP!これが日本のアイビー・ルックに多大な影響を与えたと言われている。

74年から78年頃にかけてセツや文化服装などの美術学校生やデザイン学校生、多摩美などの美大生、ジャズプレーヤーとそのマニアなど、彼らは実にアイビーをヒップに着こなした。その後、彼らの多くがモード寄りのコンチに鞍替えする事で、アイビーはようやく本来のWASP的なアイビー・スタイルへと収まるのだ。74年から始まったわずかな間だが、彼らのアイビーは社会に強烈なイメージを残した。アートな彼らとアイビーとの出会いが、その後の日本のアイビーがヒップ!であり続けられる一因となったと考えられる。

よく比較されるBLACK IVYとの違いだが、かたやWASPに対して、かたや大人文化に対して、どちらも憧れと反発を服装で表したものだが、60年代日本のアイビーは、そのままのオーセンティックなスタイルとディテールから入ったのに対して、ブラックアイビーは、一捻りしたスタイルでジャズジィーアイビーが流行した。(ジャズジィーは、今の日本のストリートなアイビースタイルと気分が被るところがある) オーセンティックスタイルでHIPな気分を表現した日本の若者のセンスだからこそ、国や人種に関わらずインターナショナルに指示されたのだと思えるし、それが、後の ”TAKE IVY” が世界的にベストセラーになる事で証明された。

“アイビーはモードだった”時代

“TAKE IVY”
MENS CLUB “街のアイビーリーガー” より引用

60年代初頭ヌーヴェルヴァーク運動でフレンチ・カルチャーがモードの世界を席巻する。ゴダール映画”勝手にしやがれ”などのスタイルから、フレンチ・コンチネンタル・スタイルが人気に。63年頃からJUNやEDWARDS等はコンチルックを打ち出し、アート系の若者が徐々にアイビーからコンチへと変わり始めた。67年頃には、若者のファッションはアイビー派とコンチ派に別れる。コンチとは、フレンチ風ヨーロピアン・スタイルで、スポーティなアイビーとは逆でエレガントな雰囲気が特徴。それにアート系の若者も飛びついたのだった。

MENS CLUB “街アイビー” より引用

68年頃からは、アイビー対コンチの図式でファッションが盛り上がっていくのである。(続く)

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慶伊道彦 IVY TEXT / 第二章 その六

Kay こと慶伊道彦のCoffee Break

ニット・セーター

クルー・ネック・セーター

Brooks Brothers カタログより引用

アイビーのもっとも基本的な丸首セーター、クルー・ネック(船員衿) ボート競技から広まったと言う説もある。最もポピュラーなセーターは、シェットランド・セーターで、その豊富なカラー・バリエーションが魅力で学生たちに広まる。

アーガイル・セーター

アーガイルとは、格子柄の一種で、スコットランド西部の地名もしくはその領主名にちなむ。ダイヤモンド・チェックとも呼ばれ、ハッキリとした色合いの組み合わせによる菱形格子から成る。

チルデン・セーター

テニス・セーター、VANの石津謙介氏が命名した和製英語で、アメリカのテニス・プレーヤー/ウィリアム・チルデンの名にちなむ。ケーブル編みのオフ・ホワイトのVネック・プルオーバーでネック、袖口、ウエストにラインが入る。英国ではクリケット・セーターとも呼ばれる。

フェアアイル・セーター

フェアアイル・パターンとは、スコットランド北北東にある小さな島の伝統的民芸柄、カラフルな幾何学的なデザインを特徴とする独特の横段縞。ウィンザー公がゴルフ場で着たことから流行する。

レター・カーディガン

MENS CLUB より引用

袖や裾口にラインを入れ、左身頃に大きな文字を配した厚手カーディガン。学校名やクラブ名の頭文字を入れる。映画”のっぽ物語”でアンソニー・パーキンスの着るレター・カーディガンが人気になる。

スエット・シャツ

ニットの分類に入りプルオーバーのセーターと同じ形だが、スエット・シャツと呼ぶ。コットン100% もしくはコットン65%/ポリ35% が多い。キャンパスウェアとしてポピュラーで。通常は胸の位置にクラブ名やブランド名のロゴが入る。

コットン・セーター

プルオーバーなところは、スエット・シャツと同じだが、編み地が一重 ( スエットは二重) なので伸縮が大きい。夏の避暑地の一枚に欠かせない。

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慶伊道彦 IVY TEXT / 第二章 その五

Kay こと慶伊道彦のCoffee Break

アイビー・コートの代表

ステンカラー・コート

石津謙介氏が名付けた “ステンカラー・コート” と通常は呼ぶが、国際的には「バルマカーン・コート」と呼ばれる。スコットランド/ハイランド地方のバルマカーン地名に由来する。1850年頃からこの地で着用されたゆったりとしたラグラン袖の七分丈ほどの末広がりのコートがオリジナルである。

VANの元祖ステンカラー・コートは、シンプルなアメリカのレインコートに近い。後ろの襟が高く、前が低く折り返す形が特徴。ラグラン袖でゆったりとした着心地がリラックスなシルエットを生み出す。また比翼仕立て(隠しボタン) が前をスッキリとみせる。素材はウール、綿、綿/ポリなど。バーバリー・コットンと呼ばれるベージュのコート地が一般的。丈は膝丈あたりで時代で前後する。二枚袖のラグラン袖だが、バーバリーの一枚袖と言う貴重な物もある。

ポロ・コート

Men’s Club より引用

ウエイト・コートとも呼ぶ、ポロコートと名付けたのは1910年、Brooks Brothers 。1929年、イエール大とプリンストン大のフットボール交流戦でブレークしたといわれている。Brooks Brothers のポロコートは、スタート当初はクリーム色のフラノ生地で貝ボタンが付いた。

ディテールとしては、マーティンゲールと言って背中にバックベルトが付くインパーテッド・プリーツ、フラップ付きポケットもしくはフレームドパッチ、ガントレットカフ、勿論、箱型長方形シルエットに太いミシン・ステッチが全てに掛かる。

ダッフル・コート

ダッフルコートの基礎となったイギリス海軍用は、裏地の無いキャメル色のダッフル・ウール生地、木製トグル、麻紐のループ、帽子の上から被れる大きなフード、膝までの丈、肩からの水の染みこみを抑えるためのストームパッチが施され、制服の一番上からでも簡単に着用出来る様にゆったりした作りとなっている。

代表的なアイビー・カジュアル・ジャケット

ハリントン・ジャケット

Men’s Club より引用

最初のハリントン・ジャケットはバラクータが1930年代にゴルフウェアとして製造したG9ジャケットである。「ハリントン」の名称は1960年代のドラマ『ペイトンプレイス物語』でライアン・オニールが演じた登場人物「ロドニー・ハリントン」に由来する。

軽量、長さはウエスト丈まで、素材は綿/ポリエステルで作られ、裏打ちはタータンチェックが伝統的なスタイルである。

同じカテゴリー商品だが、VANが名付けた”スイング・トップ” 、MacGregorオリジナルの”ドリズラー”、Baracuta G-9、いずれもゴルフウェアとして当初は作られた。

アワード・ジャケット

J.Press

日本では、スタジアム・ジャンパーとしてポピュラーだが、その名付け親はVANの石津謙介氏。元々は、ベースボール・ユニフォームのひとつで、ベンチでのインターバルや防寒着に使われていたもの。身頃がメルトン・ウールで袖部分はレザー製が一般的。当初はチーム名のみの刺繍やワッペンだったが、記念の試合や戦績をシニールと呼ばれるワッペンにして貼り付けるようになる。

写真は、全てMENS CLUBから引用しました

“アイビー・ディテール”は、雑誌MENS CLUBと星野醍醐郎氏からお聞きしたものを参考にまとめました。

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慶伊道彦 IVY TEXT / 第二章 その四

Kay こと慶伊道彦のCoffee Break

第二章 アイビー・ディテール

ネクタイ

シルク・レップのレジメンタル・タイ、クレスト、ロイヤル・レジメンタル、シルク・フラード・プリント、ウール・シャリー・プリント、黒のシルク・ニット・タイ。以上がアイビー・タイの基本的ネクタイと言える。

ロイヤル・レジメンタルーーーレジメンタル・ストライプの間に、ヘラルディック柄を飛ばしたネクタイ。クラブ・クレストとも言う。

フラード・プリントーーーシルク・ツイルやウール・シャーリーに使われるプリント柄で、花柄小紋やペーズリー柄の事を言う。基本的に大柄なものではなく、地味な小紋柄をアイビー・リーガーは愛する。

若い頃、石津謙介氏からお聞きしたことがあります。”ネクタイは何本持てば良いか” 氏曰く、”グレー無地タイ、黒ニットタイ、ポルカドットタイ、一本線レジメンタルタイ、これで充分でしょう” これは北村勝彦氏も同じようにおっしゃっています。これらを、プレーン・ノットで結ぶのがアイビー・ルール。

アスコット・タイ

シルク・ツイル地、ウール・シャリー地にネクタイ柄のフラード・プリント。元々は礼装用から生まれたスカーフだが、タウン用としてアスコット・タイの形が出来る。胸元から少しだけ見えるスカーフゆえ、シルクツイルのフラード・プリント小紋柄が、アイビーに似合う。

ベスト

スーツの場合は共地で揃えスリー・ピースとなるが、ファンシー・ベストとして別布も用いられる。英米では、オッド・ベストと言う。サクソニーやフラノの無地で作られる。柄では、タッターソール、タータン・チェック、グレン・チェックなどがある。

オッドベスト

ベルト

黒や茶の2.5cm幅、特にコードバンが人気。他には、レジメンタルやフラードなどネクタイ柄、タータンチェックなどカントリー柄の布を皮に縫い込むアイビーベルト。ゴム製ベルトはサマー・シーズンに合わせる。

帽子

アイビー・キャップ


アイビー・キャップ、ハンチング帽と違い被りが浅い、またバックサイドに尾錠が付くというアイビー・ディテールは欠かせない特徴。他、バケット・ハット、センター・クリース・ハット、チロリン・ハット、

アイビー・シューズ / MENS CLUB

黒や茶のスコッチ・グレーン、コードバンのウィングチップやプレーントウ、ホワイト・バックス、サドル・オックスフォード、コイン・ローファーズ、チャッカー・ブーツ、モカシン、デザート・ブーツ、スニーカー、、、

サドル・オックスフォードーーー馬に掛ける鞍をサドルと言うが、このサドル状の皮を靴の甲に縫い合わせたオックスフォード型シューズ。基本は、ホワイト・オン・ブラウンだが、黒 x 黒、茶 x 黒などややドレッシー寄りのサドルもある。

平和堂靴店/広告より

ホワイト・バックスーーーバックスとはバックスキンの略、白のバックスキンのオックスフォード型の靴。ホワイト・バックスは、レッド・ラバーソール付きが本格的だが、茶の革底や白のラバーソールを使ったものが多い。また、白でなく、ベージュや汚れたグレー系で作られたものを、ダーティー・バックスと呼ぶ。

コイン・ローファーズーーーモカシン・フロントのスリッポン、ローファーとは、怠け者の意味で、紐なしでサクッとはけるので名がついた。アイビー・リーガーはこの靴にコインをはさんで履きペニー・ローファーズと言われる。アイビーらしく、バック・ベルトらしきモノがつくスリッポンが60’s感覚。

Back Sideにの出っ張りが特徴
左/コブラヴァンプ 右/ コインローファーズ

コブラヴァンプ、モカシンの一つで、蛇の頭の形状から名付けられた。装飾はないが上質のステッチがコブラの頭の様に縫い込まれた表情がクール。アイビー・スタイルのドレスアップに合わせるとピッタリとくる。

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慶伊道彦 IVY TEXT / 第二章 その参

Kay こと慶伊道彦のCoffee Break

第二章 アイビー・ディテール

8: パンツ

パンツのシルエットは上着のシルエットの延長から当然ながら直線的となる。パイプ・ステムといわれる煙突状シルエット、太ももから裾口にかけて、ほぼ直線になっている。テーパードでは、アイビーのジャケットとは合わない。側線のミシン・ステッチはアイビーには欠かせない。

パイプ・ステム、ローウエスト、プレーン・フロント (ウィズアウト・フロント・ダーツ) 、この三点は余計なダブ付きを取り除き機能的なラインをつくり出すパンツの決め手。

ベルト・ループは、オーセンティック・アイビーでは必須なアクセント、2.5cm幅ベルトが通るくらいのループ幅。

そして後ろ部分には、バック・ストラップが付く。日本語で尾錠といいアイビー・アイコンのアクセント。

サイド・ポケットは側線に沿って真っ直ぐなタテ・ポケットで、ヒップ・ポケットは横切り、左側片方だけにボタンが付く。

Barnstormer Pants より引用

パイプ・ステム・パンツではターンナップでの裾上げがルール。折り返しともカブラとも呼ぶ。近年は4cmが主流となっている。裾捌きの目安だが、靴にかかる寸前あるいはワンクッションといった長さかと。一般の標準より丈はやや短めとなるが、決してやり過ぎてはいけない。

9: ボタンダウン・シャツ

シャツはボタンダウン・シャツでなくてはならない。ボタンダウン・シャツの魅力は衿にある。時代によりロール具合が変わってくるが、ソフトな薄芯を糊なしで、軽くロールさせる。カラーの標準は8.5cm、台襟は4cm位、カラーの開き具合で表情も変わる。美しいロールを出すには、薄くて上質な芯地が大切となる。勿論、絶対に糊付けしてはいけない。

前立て(フロント・パネル)が衿腰から裾まで続く。洗いにも強くステッチの表情も生かすのが前立て。また、衿、袖付け、脇、等に必ずステッチが入る。元々は、学生の度々の洗濯に耐えられるようにとステッチをかけたのだが、それがアイビーの魅力となる。

衿の外側のカーブ、台襟の首周りのカーブ、パネル・フロント第一ボタン位置のカーブ、これらが組み合わされボタン・ダウンのロールが決まる。

Brooks Brothers AD より引用

カフスは、バレル・カフ(シングル・カフ)が必須、カフス幅の標準は6cm、4cm奥の位置にボタンが付く。カフ・プリーツは、スリータックが基本だが、ブルックス・ブラザーズのカフ・プリーツはギャザーである。

フロント・パネルのボタンは6個、近年は7個も多い。大きさは10mm、衿ボタンは9mm、通常は✖️でボタン付けされているが、これは当時🟰のボタン付けミシンがなかったためと言われている。

バックサイドは、運動量を増やすためのセンター・ボックス・プリーツが入る。ボックス・プリーツの上にアイビー・ループが付く。カラー後ろ中央のボタンと同様、必ずしも付いていなくてはならないものではないが、バックスタイルをクールとするアイビーならではのディテール。

当然ながら、シャツのシルエットはウエスト絞りのないストレート。ゆったりとしたシャツが、パンツ・インしても外に出しても様になる。

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慶伊道彦 IVY STYLE 手引き / カラーTシャツを活用

Kayこと慶伊道彦のCoffee Break

Tシャツつまりアンダーウェア、これを単にアンダーウェアとみるか、第三のアクセサリーと見るかで、スタイルの幅が違ってくる。

ネクタイを当たり前にする時代は終わったが、男性のセンスはそのままで止まっている。単にネクタイが無くなっただけ。折角生まれたオープンVを生かすことを考えてみましょう。

Tシャツをカラーアクセサリーと考え、色と柄の組み合わせを工夫したいです。色から言えば、白は勿論No. 1カラー、次は霜降りグレー、そしてブラック。あとは色々とネイビー、ライトブルー、グリーン、ブラウン、ベージュなど。お好みでインできます。合わせ方も特にルールはありません。

ネックだけ色が切り替わっているTも、使い勝手が良いです。

関さんと同じシャツ生地でした。

あとは、ホリゾンタル・ストライプのTシャツ、最近60年代リバイバルなので多くのバリエーションが登場、選ぶ楽しみもあります。柄シャツの場合、シャツ柄とのバランスをよく考えたいです。煩くならないようにまとめたいです。コツは同色絡みやファミリーカラーで括る。あと、柄の大小で考えてみたら良いでしょう。

シャツに無地を持ってくるのが、最も楽な合わせ方でしょう。インのストライプが邪魔になりません。色も気にしなくて良いですし。

とまあ〜こんな感じで、お気楽に合わせて良いかと考えます。要はTシャツをアクセサリーとして意識することです。この夏は是非!

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慶伊道彦 IVY STYLE 手引き / レイヤードを磨く

Kay こと慶伊道彦のCoffee Break

男性にとってレイヤードつまり重ね着は意外と難しい。例えば、上質なスーツをイタリアン・シックに着こなす方でも、ジャケットにメンパンとなると、途端にイメージを出せなくなります。その点、女性は上手く色々なアイテムを組み合わせて楽しむコツを心得ています。恐らく男性は、出来上がりのイメージを描ききれないのだと思います。このスーツに、このシャツ、このネクタイ、せいぜい胸にポケットチーフを刺す事で違いを出す位です。メンズのスーツ・スタイルは (ジャケットとパンツでも同じだが) レイヤードというより、禁欲的に決まりきったルールで組み立てる方がスタイルも決まります。変にオシャレを見せたりしない方がクールで、イジればイジるだけ妙なスタイルとなります。ですから、メンズのコーディネートが平面的なのは致し方ないかもしれませんね。

そこで指南役

まずはグレースーツから始めましょうか。頭の中でスポーツシーンを思い浮かべましょう、スーツを着たままフィールドを走る様です。汗、土埃、風、など、オフィスシーンと比べて様々なファクターがプラスされます。或いは、70年代アクション映画の探偵役でもいいでしょうね。スーツを着たままの乱闘では、汚れるだけでなく、ボタンが外れたり破けたりも。

実際、折角のスーツをそんな風に扱うという話ではありません。あくまでそのようなイメージを描いてスーツを着こなしてはどうでしょうかという事。ウィンドウディスプレイのような固まったナリでなく、アクティブな動きを感じさせてみるといかがでしょう。

そこで登場する小道具は、CAP、スニーカー、ニットタイ、サングラスなどです。それらを組み込む事で、雰囲気作りがイージーになります。レインコートの代わりにナイロンジャケットを羽織るのもありです。そうやってスポーティな気分の着こなしが段々とわかってきますと、同じグレースーツなのに見た目が変わってくるのです。その感覚を学習すれば、あとは小道具なしでもクールになりヒップになりのイメージも湧きますよ。

好きな映画のワンシーンを思い描く手もあります。例えば、夕暮れの海岸埠頭を歩くシーン、ここではネイビーやホワイトが大切なカラーとなります。マリーンな気分を出しやすくなります。この場合、ホワイト・カラーが便利な小道具となります。

いささか膝の抜けたパンツは、カットオフしてバミューダショーツ気分にしましょう。意外とどんなジャケットにもこれが合うのです。気分は、ダウンタウンの歩道脇で袋に入ったウィスキービンを持ったドランカー。部屋は整理してないのでそこらに散らばっているアイテムから適当に着てきたと言う感覚。この時の気分はシャレすぎない事。

とりあえず手持ちのアイビーなアイテムをズラーっと並べてみて、目をつぶって適当に組み合わせてみましょう。意外とヒップなスタイルとなりますよ。その際のキモは、色合わせは2色まで、柄合わせも2点まで。それ以上の色柄アイテムは、無難なアイテムと差し替えましょう。

以下、ビームスプラス丸の内店のディスプレイから引用しました。一つ一つのアイテムはなんでもないものでも、組み合わせる事で魅力を増します。このくらい無造作な組み立てで良いのですから、構わずやっちゃいましょう!(ビームスプラス様は、そこらは考えてやってらっしゃると思いますが)

以上、コーディネートの際の気分について語りました。60年代、70年代の映画から気分だけでも盗み取れば、クールなスーツスタイルとなるでしょう。

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慶伊道彦 IVY TEXT / 第二章 その弍

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5: ボタン

多くは、シングルの三ツボタン、上二つ掛け。ボタン・スタンスは12~13cm と広めに取るため、長方形シルエットが似合う背の高い人だけのモデルだった。そこでモディファイド・モデルで万人向けに修正、ボタン間隔は10~11cmとなる。ボタンのサイズは、小さめで(18~19mm)、ボタンの位置にアイビーの特徴が出る。第一ボタンの位置は、胸ポケット位置より1cm下位で、第三ボタンは脇ポケットの横となり、その中間が第二ボタンとなる。このボタン間隔の広さとボックス・シルエットがアイビーの持つ魅力である。また、袖ボタンのスタンスも、2.5cmと広めとなる。

6: ポケット

フラップ・ポケットは真っ直ぐに切られたスクェアフラップ・ポケット、胸ポケットはウェルト・ポケット(箱型) 、また、ジャケットの場合は、パッチポケットもしくはパッチアンドフラップとなる。いずれの場合もポケットにはステッチがしっかりとかかる。

7: センター・ベント

アイビー・スタイルの特徴の一つ、フックベント。カギ型に曲がった深いベント、これが付いてないとアイビーの香りがしてこない。アイビー・ディテールは、多くは英国スポーツ・シーンから出てきたがベントは乗馬服から。ベントの長さは、オーセンティックは23cm、上着丈が長い分深いベントとなる。長い方は25cm以上もあるが、万人向けになった ”モディファイド・スタイル” では20cm位のフックベントとなる。

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