慶伊道彦 IVY STYLE 講座 / Bert Pulitzer 70年代活躍アパレル

Kay こと慶伊道彦のCoffee Break

Bert Pulitzer バート・プーリツァ この名前を知ってる方は、ハーバード大クラスのアイビー通である。

僕が、”Bert Pulitzer” ブランドを知ったのは、71年、ボストンのとあるデパートネクタイ売り場。イエローの素敵な小紋プリントタイがズラッと並べられていたので、手にとってラペルを見たのが最初。(それまで僕らには、バーガンディベースが主役だったので、イエローは非常に新鮮) それ以来そのブランドが気になって仕方がなかった。しかし当時のアメリカは、現在の日本の状況と似ていて、小売店はその店独自のネームラペルをつけていたので、なかなか見つけることはできませんでした。おそらくそこそこのお店では並べられていたと思いますが。その後、しばらく経過〜〜

Bert Pulitzer氏と小紋プリントタイ

帰国して、早速イエローベースのプリントネクタイを制作しますが、国内製ですと、当時の見たイエローの色が上手く出ないので困ったものです。そこで、イギリスのデヴィット・エヴァンス社からサンプルスワッチを取り寄せることにしました。さすがの本場、素敵な小紋プリント生地がたくさん送られてきて感激したものです。

さて、バート・プーリツァの話に戻ります。”MENS CLUB” 1980/05号に、浜田容子さんのNew York Fashion Express 記事よりピックアップしました。

親父さんのネクタイ会社を継いだのですが、企画を当時トレンドだった “ナチュラルショルダー” マーケットに集中させ社運を盛り返す。ナチュラルショルダーというのは、ブルックスブラザーズ的なクラシックを表現する別名。

タイは、スクールカラーのレップレジメンタルタイ。シャツは、クラシックをアップデートしたニューヨークトラッド。ブルックスのシャツよりボディはテーパード、カラーも短めにし、ナチュラル素材だけを使用。

独自のディテールとしては、ステッチは3/16inc. 小さめでダブルステッチ。ポケットにはペンシルホールをつけ、ボタンは穴4つ、クロスステッチでつける。特に力を入れる素材は、ピンポイント・オックスフォード、シルクのような光沢感が人気、1インチの長さの中に18から22針目のステッチを入れる。(70年代当時のボタンダウンシャツの動きがわかるかと)

1975年よりセーリングジャケットを作る。1型だけのデザインで色ちがい、セーリングには勿論、ウィークエンドにも間に合うもの。本当にいいものが一つあったらそれでいいという考え、クラシックとはそういうものだと (本人もセーリングをはじめ、スポーツが大好き) また、”トップ・サイダー” のネーミング生みの親であるバートらしいセンスでした。

僕が、彼のオフィスに訪問したのは、その後80年代の半ば。その時は、ブランドを、” XMI “ として販売しだした頃。ブランドを変えた理由を聞くと、彼自身のネームブランドは出資者に奪われたと語る。そこで、新しいブランドで再起を図ったわけです。3-4年、僕とXMIの付き合いが続きましたが、いかんせん日本では、ニューヨークトラッドといわれる大柄のプリントタイがマーケットには乗らなかった。やむなく解約となるが、短かい期間でしたが楽しい付き合いをさせてもらいました。彼も、スキーやインラインスケートをしていたので、仕事以外でも話が盛り上がりましたし、何よりもニューヨークトラッドの話を共有できたのが大きな思い出。

大柄なプリントタイは、80’sNYで大ブレークしたが、日本では、とんと受けなかったです。ただ近年、似たようなやけに大柄なネクタイを、日本でもクラシコ派は身につけてます。

そういう訳で、NYの80年代は、ボールドなパターンが全盛、ストライプタイもプリントタイも。これは日本にはなかった動き。当時、日本はプレッピーブーム、そしてその後のDCブランド、アルマーニなどが席巻した時代。NYとは全く違う動きをしていましたから。

80年代活躍したタイウェア女史 “Vicky Davis”

もう一人、NY80’s で、注目したいネックウェアデザイナーがいます。アイビーとは全く関係ないラインですが、ニューヨークスタイルという事で紹介します。巻き毛のワイルドなヘアースタイルにオーバーサイズのメガネがトレードマーク。この方、女性だから考えるネクタイの楽しさを表現。スタートの極スキニータイが受けたことが始まり。その後、ポップなアートタイブームに乗り飛躍。ユーモアあるボータイのコレクションも話題に。同じグループには、”Format” タイなどもありました。

ART感ユーモア溢れるデザインタイ

80年代のNYは、ヤッピーが闊歩した時代、バブル景気が、アートをビジネスにまであげる。ファッションも、それに乗り、高級感あふれるスタイルが全盛。数々の新人デザイナーが生まれる。今日、何人のデザイナーが残っているか。

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