慶伊道彦 IVY STYLE 映画 / NHK BS 世界サブカルチャー史 “欲望の系譜”

Kay こと慶伊道彦のCoffee Break

昨年から、珍しく二度観したテレビの特集番組。NHK BS “サブカルチャー史/欲望の系譜” 実に楽しく勉強させてくれる番組、何せ好きな映画とサブカルチャーを組み合わせしているところにハマりました。

番組は、50’s ~ 90’s 年代別に さらに2000~2010 も加えて6回にわたり編集されていました。

そして今回、番組が本になったので、早速買ってみました。本では、70’s ~ 90’s を取り上げています。

そこで僕の今回のテーマは、この番組から触発された60’s の映画をもとにサブカルチャーに迫ってみたいと考えました。60’s 、大まか僕の十代、中学生から大学生時代に当たります。何せ学問の知識がないミーハー男なので、相当に適当な解説になりますが、その青春時代を好きなスタイルの側面から読み解きたいと思います。

まずは、本の解説から取り上げていきます。丸山俊一氏とNHK制作班のまとめた番組です。

“時代のルールは密かに書き換えられていく”

この言葉は、すでに先行している企画[欲望の資本主義] で初回放送時にナレーションした言葉だが、経済現象のみならず、社会、文化、ある時代の人々の心の形は時代によって作られ、またその心の底にある想いが次の時代を創っていく。〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜そうした不思議な、ある時代ある社会に形成されるエネルギーをサブカルチャーと、ひとまず呼んでみた。こうした精神から、[世界サブカルチャー史]は立ち上がっている。もちろん、映画、ポップス、流行など様々なポップなアイコンもその中には含まれているが、同時に、メインから零れ落ちる、名づけ難い何ものか、としか言いようのない、時代の潮流の中にある.淀みを掬い取ろうという試みなのだ。〜〜〜〜〜〜〜

以上、[欲望の系譜] より抜粋しました。

学問的な位置付けはこのくらいにして、年代順に映画を中心にして追いかけてみたいと思います。

60年 / ベンハー、アラモ、スパルタカス、など保守派の大作が目白押しの年ですが、”アパートの鍵貸します” この映画で、ジャック・レモンのアイビースタイルとサラリーマンのニューヨーク生活を堪能。また、なんと言っても、ヒッチコックの ”サイコ” アンソニー・パーキンスの勇気ある演技がカッコ良かったです。コットンジャケットの襟を立て、ボタンダウンシャツの袖を少しだけロール。僕にとってのアイビー文化の始まりでした。

‘60 サイコ

ジャネット・リー / 可哀想にシャワーシーンが有名ですが、この本では、カーライフの始まりと捉えています。彼女を取り巻く車との接点とそこからの事件、アメリカでカーライフが大衆的になっていく時代の始まりが、よく表れていると。

ドライブインスルー、ドライブシアター、車社会の到来から出てきた。

‘61 ケネディ大統領

ニクソン対ケネディの大統領選挙で初めてオープンカーによるデモンストレーションが行われました。ニクソンはフォード、ケネディはキャデラック。

60年代初頭は、テレビが大衆化した時代。それにいち早く対応したケネディの戦略は有名な話。

ケネディ人気は大ブレークし、至る所でケネディのバッチや関連グッズが売られる。

ジャッキー人気もすざましく、ヘアースタイルのマネや、何と!胸像まで売られた。

‘63 キング牧師

60年代を代表する二人、一人はキング牧師。もう一人はボブ・デュラン。非暴力抵抗運動を進めたキング牧師、ワシントン大行進のスピーチがあまりにも有名。

” I have a Dream” 大行進には、ボブ・デュランは勿論、他にもジョーン・バエズ、ハリー・ベラフォンテ、マーロン・ブランド、ポール・ニューマンなどが参加、意外だったのはチャールトン・ヘストン、銃規制反対運動のリーダーだったので、右派だとばかり思っていたのだが、長らく公民権運動に力を注いだようだ。

ボブ・デュラン

60年代デヴューからのアルバム写真から〜

‘62 アラバマ物語

60年代は、黒人差別反対運動が活発になります。それを反映した映画、一人で闘う弁護士役、グレゴリー・ペック、暑い南部が舞台なのでコードレーンのサマースーツを見事に着こなす。

‘61 ティファニーで朝食を

物語は、田舎を飛び出しニューヨークで華やかな生活を夢見る女性、しかも彼女は十代の時、強制的に結婚させられたという。カポーティの小説では、田舎と都会の格差、貧乏や悲しさをテーマにしている。60年代、都会へ都会へと人が動く。これは、アメリカに限らず日本でもそうでした。僕も田舎から上野駅に降り立った一人ですから、その心情はよく理解できます。

オードリー・ヘップバーンのジパンシーの衣装が有名ですが、僕らアイビー派は、共演のジョージ・ペパードに注目。彼のアイビースタイルに関しては、僕のBlog. とYouTube で詳しくお話ししていますので、よかったら参照してください。

二人でティファニーに向かい5番街を散歩するシーンが圧巻ですね、ジョージ・ペパードは、ネイビーブレザー、裏が真っ赤、紺赤のレジメンタルタイを合わせ。

ヘリンボーンジャケット、グレーコーディネート、カーディガンをインしている所をまねたい。

‘61 ウエストサイド物語

69年代前半は、大人と若者の確執の始まりと言われてます。戦後のベビーブーマー世代、日本では団塊世代と言われてます、彼らが青年になるに従って、50年代の親子のハピー関係が崩れてくる。

もう一つの問題は、多くの移民が入国する事で人種的な緊張が高まって来たこと。ニューヨーク低所得者エリアにたむろするポーランド系白人対プエルトリコ人の不良たちの闘いの物語。これは50年代には映画にならなかったテーマでした。

ジョージ・チャキリスの華麗なダンスとナタリー・ウッドの可憐な笑顔が印象に残ってます。

‘64 博士の異常な愛情

63年、ケネディ大統領が暗殺、ジョンソンが大統領に就任。泥沼のベトナム戦争に突入します。米ソ冷戦時代にもあたり、人々は核戦争の恐怖を身のあたりにするようになります。映画は、精神に異常をきたした司令官が核のボタンを押してしまい、米ソの最高責任者がバタバタするブラックコメディです。核への警鐘がテーマ!

‘65 サウンドオブミュージック

ナチスの侵略に反対するオーストリアの愛国者が、家族を連れてスイスの山越えをするミュージカル。当時、ベトナム戦争反対の気運が高まっている時なので大ヒットしました。今年、ロシアに追い立てられるウクライナの人々を想います。

‘65 ビートルズ / 初ニューヨーク公演

ジョン・レノンのつくる”HELP”が大ヒット、それを引っ提げての米国上陸。コンサートは、50万人を動員。この二週間後には、カシアス・クレイがヘビー級世界チャンピオンとなる。

‘67 カシアス・クレイ / 兵役拒否

判決は、禁錮5年!資格剥奪!しかしここから彼の反撃が始まる。カウンターカルチャーの英雄となり、ベトナム反戦運動が全米でスタートする。

‘67 俺たちに明日はない

アメリカン・ニューシネマの始まり。この物語は、反戦運動ではなく、富んでいる者を叩くという文化的反撥映画だが、背景にはベトナム戦争反対派の心情もうかがえる。

同年、シドニー・ポアチエ主演の”夜の大捜査線” そして “招かれざる客” 公開。アイビースタイルにキチッと身を包む姿に心をうたれる。

60年代後半は失望の時代、夢がなかなか叶わない若者の失望

‘68 卒業

ジェネレーションギャップという言葉が生まれる。大人の分別、教会の権威、こういったものを冒瀆するのは、アイビー校卒の物欲もある普通の男、それがカウンターへの道を進む。大人に理解できない永遠のテーマ。

アイビー派としては、ダスティ・ホフマンの着る、コードレーン・コットンジャケットやカーキーグリーンのコットンスエードジャケットが嬉しい。

サイモン&ガーファンクル / ミセス・ロビンソン

‘68 猿の惑星

見知らぬ惑星だったが、そこは地球、自由の女神!核戦争の恐ろしさをエンディングが伝える。

‘69 真夜中のカーボーイ

夢を求めて行った大都会、そこに敗れた弱者の二人、薬物、障害、男の売春、ダークサイドにテーマを当てた映画。夢が叶わない時代

‘69 ウッドストック・フェスティバル

三日間で40万人動員、愛と反戦のロックコンサート。

番組では取り上げられてない映画だが、アイビー派にとっては欠かせない60’sスター

スティーブ・マックイーン

大脱走 / カットオフされた半袖スエットシャツ、スリムなチノパン、チペワブーツ、フライトジャケット、

ブリット / ツィードジャケットにタートルネックセーター、ガンホルダー、カーチェイス、

他にも、華麗なる賭け、マンハッタン物語、シンシナティキッド、ネバダスミス、、、

‘69 イージーライダー

アメリカン・ニューシネマの代表作!番組では、この映画の空気感を70年代の始まりのと捉えています。若者の反動と大人のモラルパニック ”アメリカ憂鬱の70年代” の始まりと。

60年代は闘争と失望の時代、メインからこぼれ落ち何かポツンと〜〜サブカルチャーは社会の空気の中、漂う。今日の全てのアメリカの問題発祥の時代、しかし、解放への時代でもある ===“欲望の系譜”より===

皆さん、もう一度これらの映画を観たくなったのでしたら、僕としては嬉しいです。また70年代以後の映画は、この本にたっぷりと紹介されてますので。願わくば、NHK/BS放送再度再再度放映される事を期待しています。よい番組をありがとうございました。

写真は、番組と映画から撮り引用しました。

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