Kay こと慶伊道彦のCoffee Break
ウディ・アレン映画の中でも、特に誰からも好かれる映画 “アニーホール” 勿論、皆さんも一度は観ていらっしゃるかと思います。数年前から、70年代後半のニューヨーク・スタイルに再度脚光が当たり始めました。ウディのゆったりとしたチノパンは、メンズショップの売れ筋No.1 となり、ヴィンテージのM-65 フィールド・ジャケットも相変わらずの人気です。
何度観ても飽きないこの映画のスタイルの魅力を伝えます。

オープニングの子供時代の家族の観察場面が楽しい。勿論厳格なユダヤ人家庭で、母親の口煩さにヘキヘキする日常。父親の仕事は、Bumper Carsといって遊園地にある乗り物の営業マン (遊園地で小型カーがドンドンぶつかるヤンチャなカー遊具、50年代人気があった) 大食卓で大勢の家族親戚がワイワイ話しながらのシーン、家はコニーアイランドのローラーコースターの下という面白い設定。ウディはこのネタを膨らませて、2017年公開の映画 ”女と男の観覧車”を作っています。


この映画、なんと言ってもアニー役のダイアン・キートンの魅力爆発!写真のポロ・メンズ・スタイルはアニー・ルックとして大ブレークしましたが、それ以上に彼女の発する奇声や小悪魔的な仕草に魅入られてしまいます。この映画で、ダイアンは、自分のキャラとか演技力とかに目覚めたのではないでしょうか。その後の、”ミスター・グッドバーを探して” “インテリア” “マンハッタン” “レッズ” で次々と魅せてくれました。


二人が親密になるアニーのアパート屋上のシーン、ニューヨークの屋上にこの様な簡単なテラス風なスペースがあり、住民たちは、ここでコミュニケーションします、ミニパーティ的な。特に、この映画の影響か80年代から90年代にかけて屋上に、オープンテラス的なカフェが数多く出現、日本で僕らが考えるデパートの屋上的とかではなく、手を加えてないそのままの古さを生かした屋上スペースで。

このシーン!ロブスターとの格闘シーンなのですが、実に愉快に演技しています。いや、演技すると言うより普段の二人の会話の延長上と思えます。この映画の公開時には実生活では別れているのですが、お互いリスペクトしているのでしょうね。

RIZZOLI ニューヨークの独自な品揃えで人気が高かった本屋さんでのシーン、チェック・シャツで二人はかぶってます。ダイアンは、メンズライクなジャケットとパンツで、ウディは、ワイドラペルの広いニュートラ・ジャケット、サイドベンドとなってます。70年代半ば頃は、ラルフ・ローレンPOLOスタイルの全盛期、オシャレなニューヨーカーの必需品となりました。素敵な本屋さんのRIZZOLIはソーホーに移って魅力が半減しましたが。


公園ベンチで通行人の品定めをしているシーン、通行人の一人に、あのカポーティ氏が実名で登場して驚きました。ウディのスタイル、茶のコール天ジャケットに細かいチェック・シャツ、トレードマークの色モノTシャツを覗かせています。

ロスアンジェルスでのパーティ・シーン、ポール・サイモンが音楽プロデューサー役で出演、ここでは、圧巻のダイアンのスーツ・スタイル、POLOスタイルのベージュ・スーツ、ツータック・パンツに、当時トレンド入りしたウォッチポケットが付くと言うオシャレぶり。ウディのニュートラ・ジャケットには、ステッチが入っていません。この頃、ブリティッシュ・スタイルへの傾斜を強めていたラルフは、ステッチを省いたジャケットも多く発表していました。


とはいえ、やはりアメトラにステッチは欠かせないかと。このシーンでは、ステッチ入りとエルボーパッチ、ウディらしい味わいが出ています。


ウディの同じブラウン系ジャケットの2つのシーン、一つは、カラーシャツにレジメンタル・タイ、そしてチェック・シャツにはトレードマークのTシャツ覗かせ。


70年代半ば頃から、この様にパンツ裾が広めとなる。純正アイビーからの脱皮。日本でも、ツータックウォッチポケット付きのパンツが大流行り。ベルトも太くなりバックルに凝る様になる。



ウディは、様々なチェック・シャツを魅せてくれる。その際、必ずシャツの第一ボタンを外して中のカラー・Tシャツを覗かせる。


このシーンも、二人の親密さをよく表しているかと。クリスマス・シーズンに一方は赤のタータンチェック・マフラー、相方は赤の入ったアーガイルチェック・ベストと。別れのシーンでこのスタイル合わせとは皮肉ですが。

ベトナム戦争反対運動が影響しているのかどうかわからないが、当時 M-65 フィールド・ジャケットをニューヨーカーがタウンスタイルで着る様になる。ウディも好きな様で他の映画でも着ている。右手のマクルーハン本人の登場には驚いた記憶がある。


よく映画に使われるシーンだが、ロングアイランドでしょうか。このシーンだけで、ロマンチックな気分を醸し出します。

番外ですが、”マンハッタン殺人ミステリー”より、”アニーホール”から16年後の映画ですが、実生活で別れた二人は、相変わらずの名コンビ!二人のベージュ色コーディネートが素敵でした。

ダイアン・キートンは、2000年代に入ってもいまだに素敵で、俳優としても第一線で活躍しています。ウディ・アレンは、ME TOO 運動で批判に晒されて自粛中。アマゾンプライムでレンタルできない作品もあるのが残念です。作品は作品!ウディ映画を楽しみたいです。
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