Kay こと慶伊道彦のCoffee Break
よくスタイルに熱心な後輩(というより若者)に質問されるのが、アイビーとプレッピーはどこがどう違うのですか?これほど難解な質問はないですね。何故なら双子の兄妹みたいなものですから、微妙な違いを探すと益々その意味がわからなくなってしまいます。


過去に評論家やうるさ方の皆さんが、その違いを色々おっしゃっていますが、どれもが正しいようでそうでないようで。
そこで、プレッピーなる名称がでた当時のコラムニストの意見を、MENS CLUBの取材インタヴューからご紹介します。
クララ・ハンコックス女史/メンズファッションのジャーナリスト “Jivery Ivy” ジャイビー・アイビーの名付け親

女史の基本的なスタイルは、クラシック・トラディショナルであるべし!巷のプレッピーはファッド!その点では古臭いご意見番的な考え方なのですが、一方確かにそうだなあと思う事をおっしゃってもいますので、違いを知るには格好な意見かと。
< 本物のプレッピーはなにごとにせよ、極端に強調しすぎるような格好はしません。例えば派手な色を着る時は、スポーツ観戦に行く時だけに限られます。しかしながらそう言うプレッピーなクラスは少数派です。私自身も貧しいスラム出身ですが、何故そのようなクラスの格好をするのかと言えば、私自身がこのスタイルを尊重し、良いと思っているからです。要するにプレッピー・クラスの真似をしているといえるかもしれません。>
<例えばスペイン語を話しニューヨークで暮らしている若者は、”アンドーバー”出身者ではあり得ず、また精神性も違うでしょう。どちらが良い悪いというわけではなく。だから少しずつ色を派手にしたり、ヘッドバンドをしたりと、アンドーバーではやらない事を少しずつ加えていく。そうやって変わっていくわけです。何事であれ、大勢のものになればそこから変化が始まる、と考えなければなりません。1950年代のアイビーも、初めはただのアイビーでしたが、それが一般化して、段々とエキサイティングなものに変わっていくのです。(インタヴューは1980年のものです)
*アンドーバー / “Home of America” と呼ばれるアメリカ建国タウンで、最も古く最も権威あるPREP SCHOOLがある、WASPの街*
この辺りの考え方は、自分でもよくわかりますね。僕は貧しい田舎の出身者ですし上京して東京の若者のアイビールックにカルチャーショックを受けたのですが、やはり仲間に入ることも出来ず、真似事をするだけで精一杯でした。そういった地方の若者たちが、ルール一辺倒なアイビーに色づけを加えていったのが日本のアイビーの歴史かと。
<アイビーは言ってみればひとつの信仰みたいなものだった。自分のパーソナリティの一部として持ち続け、それは紳士的な慎ましさや自信を生み出した。アイビーという言葉は、アメリカの最も伝統のある大学から出た言葉だ、いってみれば大変成熟した言葉といえる。しかしプレッピーは、遊び半分の言葉、今日の若者がアイビーをどう見るか、現代風の解釈でどう考えるか、アイビーというファッション傾向を子供っぽく解釈し直しただけの、馬鹿馬鹿しい言葉に思える。>
<ですから、今のプレッピーは昔のジャイビー・アイビーのようなものです>
<本物のプレッピーはなにごとにせよ、極端に強調しすぎたような格好はしません。>

以上、MENS CLUB 09/1980 号からの抜粋ですが、オーセンティック・アイビーの信奉者たる女史の怪気炎が伝わってきました。80年、プレッピーたる言葉とスタイルが誕生した頃は、このようなコンフュージョンな現象が起こったのはよく理解出来ます。
さて、今日におけるプレッピーはというと半世紀近い荒波に揉まれて、アイビーと共有するイメージとクラスを得ています。アイビーとプレッピーどちらの言い方でも正解、あえて言えばアイビーよりストリートな流れを意識したラインはプレッピーと言うようになってます。

僕が考えるには、オーセンティックをややオーバーサイズで着るくらいでしたらスタイルはアイビー。しかしパンツのシルエットが大きく変わったりワークパンツ風ディテールが付いたりすればプレッピー、カラー・バリエーションとなるパンツもそう。色を楽しんだりプラスアルファなディテールを楽しんだりはプレッピー。70年代後半から始まったヘビーデューティやアウトドア・スタイル、もちろんフレンチ・アイビーや渋カジなどもプレッピーに。
ですから、当の本人が思わなくてもプレッピーですねと言われたり、アイビーですねと言われたり、今日はアイビーだ、今日はプレッピーだ、と自分が思ってスタイルすればよろしいのでは、もしくは僕のスタイルは ”プレッピー・アイビー”!なんて叫んでもいいのかと。
パンツを替えるだけでアイビーになり、プレッピーになるという、自分の写真から。


アイビーかプレッピーかの結論は、ご本人の気分次第、なんてことはない結論で失礼致します。
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