慶伊道彦 IVY STYLE FILM / “Jazz on a Summer’s Day” Spectators

Kay Coffee Break

夏の気配がすると、毎年必ず観たくなる映画、”真夏の夜のジャズ”

撮影された1958年はアメリカズ・カップ開催の年、その同時期同じ場所で、ニューポート・ジャズ・フェスティバルが開催。双方のイメージが相まって洗練されたアイビー映画に仕上がっている。音楽フェスティバル映画には珍しく主役は観客、それも半端無いレベルの高い50年代アイビー達だ。アメリカがゴールデン・エージを謳歌していた時代の雰囲気が感じられた。この頃の日本と言えば日活ヌーヴェルヴァーグ映画が人気で、石原裕次郎の”嵐を呼ぶ男” “錆びたナイフ” が時代を切り取る、そんな58年代。

さて、映画のオープニングはアメリカズ・カップのヨットレース映像から、ジャズに揺られてヨットが波間に漂うカッコいいシーンがこの後の展開を期待させる。

フェスティバルは、Jimmy Giuffre Threeから始まる、ベージュのコットン・スーツにペイズリー・タイ。いきなり夏の代表スーツからとはなんとクールなんだろう!さあ〜アイビーのお祭りが始まった。ジャズ映画とはいえ演奏シーンはそれほど多くなくジャズ・マニアにはモノ足らないに違いない、しかしその分HIPなスタイル映画に仕上がっていて、なかでもAnita O’dayの横顔からのショット、白と黒のドレスで弾むスキャット、素敵なアニタが炸裂していた。

Gerry Mulligan、Chuck Berry、Chico Hamilton、Louis Armstrong、Jack Teagarden、etc. プレイヤーの誰もが楽しんでプレーし輝いていた。

夏という事もあり会場は、男も女もサングラスとストローハットのスタイルが目立つ。レイバンのウェイファーラーがこの時代のアイコン、自然とスタイルに溶け込む。ストローハットも全盛期、60年代には消えてしまうアイテムとなるので、ハットをかぶるのもこの頃までか。また、この時代だけ流行ったアイビー・キャップの観客もいた。

ウェイファーラー
サングラス
ストロー・ハット
アイビー・キャップ

やはり夏のアイビーには、マドラスチェックとアイビー・ストライプのシャツが似合う。意外だが、その後どちらも一旦は消えてしまう。復活したのは、マドラスは早く、80年代Preppyブームで、その後また消え2010頃のアイビー・スタイルのカンバックで再度ブレイク。アイビー・ストライプに至っては未だに復活はない。(そろそろかなという気配はありますが)

アイビー・ストライプとは、英国で生まれたレジメンタル・ストライプをアレンジ、細めの等間隔ストライプで渋めで落ち着いた色合い、アイビー・リーガーに人気を博すことから名付けられる。

真夏にも関わらずネクタイをしたドレス・スタイルも目立つ。70年代に入るとネクタイの代わりにボタンダウン・シャツからカラーTシャツを覗かせるニューヨーク・トラディショナルが人気となり、ネクタイは脇に追いやられる。

夏の主役であるSeersucker 多くの人が着ていた。当時のバミューダ・ショーツは、ハイソックスを合わせていた。

シアサッカー・スーツ
バミューダ・ショーツ

会場のオープン前の仕上げ映像も何故かアイビーして、映画のセンスが窺える。

唯一残念なのは、マイルス・ディヴィスの出演シーンがないこと、50年代アイビーだった彼をバート・スターン監督がどう映像にしているかを観たかったが、贅沢言うのはやめ真夏の夜に浸りたい。

先日、神保町を訪れた際に喫茶店 ”Trois Bagues“ でCoffee Break、丁度オープニングにも使われたセロニアス・モンクの ”Blue Monk” が流れ、一瞬だが波間に漂う感覚を味わい、映画を想う。

この映画では、個々のスタイル模写だけでなくアイビーな気分を感じたい。何を着ているとかどんな合わせ方をしているとか、それよりもアイビーな気分でいるという事がそのままヒップなアイビー・スタイルとなることを学びたい。モノよりマインドだ!

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