Kay Coffee Break
90年代に入りニッポン・アイビーは迷走する。ドレス好きはイタリアン・クラシコに、カジュアル好きは渋カジへと。かくある僕も、セヴィルローの魔力に嵌り迷宮入り、ビスポークのスーツやシャツ、シューズ、John Pearse、Stephen Lachter、George Cleverley、、、と散財したが、まさにバブルな日本を象徴する時代だった。僕のビスポークに対する結論を言えば、2000年代に入り夢から覚めるとオーダーしたスーツは妙にチンチクリンな気分となり放棄、ナチュラル・ショルダーへと戻った。当然、靴も英国靴からAldenへと変わった。10年以上も迷い込んでいた計算になる。
さて、90年代ほどドレス野郎とカジュアル坊主のスタイルが離れていた時代はなかったかと。お互い全く関知しない、二つの世界が混在する世代交代前夜といったところ。POLOもその波に揺れる。従来の顧客層対ニュー・キッズ、80年代後半からブレークして来たヒップホップ・カルチャーがますます盛り上がってくる中、POLOは満を持して発表した二つのコレクションが先々を結論付ける。92年、ストリート・スタイルに人気のPOLO SPORTと並行して発表の “Stadium”翌年の“Snow Beach” だ。ヒップホップ・スターRaekwonの着るPOLOロゴ・ファッションがブレーク、ヒップホップとスケートはストリート・スタイルの両輪、彼らがPOLOブームに拍車をかける。このブームは、POLOにとっては痛し痒しだった。本来のコネチカットの大邸宅というイメージよりダウンタウン・ストリートというイメージが強まっては問題だからだ。その動きを認めつつもバランスを取らなければいけなかった。


93年発売のRRLは、ヴィンテージ好きなファンのためのコレクションとしてスタート、両方の層から支持された。ラルフローレン夫妻のセンスが詰まったスタイルで、日本でも同様にうける。
渋カジから始まった日本の90年代、L.A.スタイルより動きは遅かったが、2000年代に入り、その差は埋まっていく。
2018年公開映画 “Mid90s” は、90年代スケボー少年たちの物語、サイズオーバーのPOLOポロシャツ等を着て、映画センスが良いとブレーク。長らくアイビーとは相容れない流れだったのが、この頃からそのHIPな着こなしが、ニュー・アイビー・スタイルに影響を与える。今日では、ニッポン・アイビーにヴィンテージ・ウェアは欠かせないアイテムとなった。

ヴィンテージ市場では“Stadium” “Snow Beach” が手に入らなく高値となった。
長らくPOLOを悩ましていた “ロングアイランド” と “ストリート” という二つの異なったイメージが、ようやく相容れる時代がきた。
こんにちのニッポン・アイビーは、オーセンティック、ニュートラッド、ニュープレッピー、ヴィンテージ、これらが一緒くたとなりストリート・スタイルとしてのトップを走る。POLOがこれらの橋渡しをしているのは間違いない。今後の変化にも期待していきたい。
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